2020-09-28

法務部の「テクノロジー捜査法」草案の公表と世論の厳しい反応

法務部はテクノロジーを利用した捜査手法と法的規律に関する「テクノロジー捜査法」の草案を2020年9月8日に公表し、意見募集を行ったが、世論の反発を浴びた。

「テクノロジー捜査法」草案の主な内容は、1.捜査機関の監視機器、ビデオ及びGPSといったテクノロジーを利用した捜査手法並びに法的規律、2.モバイル端末等の傍受及び法的規律、3.デジタル証拠の収集及び保全から構成される。

1. 1について、検察官が裁判所の令状を得たうえで、テクノロジーを利用し、プライベート空間の人やモノを監視すること等ができる。また、検察官が必要と判断した時、裁判所の令状なしで、テクノロジーを利用し、非プライベート空間の人やモノを監視すること等ができるほか、GPSなどの位置情報の追尾監視のためのハイテク機器・技術を利用し、捜査することができる。ただし、GPS捜査については2カ月を超えて捜査する場合、2カ月過ぎる前に裁判所の令状を得なければならない。

2. 2について、検察官が裁判所の令状を得たうえで、被傍受者のモバイル端末等にアクセスし、LINEやFACEBOOKなどでの通話、メッセージ、ビデオ等の通信記録を傍受することができる。

3. 3について、電磁的記録媒体の差押えの際に、モバイル端末やクラウドに保存されているデータに対し証拠の収集・保全のための強制処分をすることができる。

法務部の「テクノロジー捜査法」の草案が公表された後、世論の反発を浴びた。「非プライベート空間」の範囲は、「公共空間」よりも広すぎること、長期間のGPS監視のような非プライベート空間における人の移動を包括的に記録することを可能にする技術を用いると、プライバシーの侵害のおそれがあるにもかかわらず、「検察官が必要と判断した時」という発動要件の敷居が低くて不明確であり、令状主義の適用範囲を拡大すべきであること、被傍受者のモバイル端末等にアクセスし、LINEやFACEBOOK等でのあらゆる通信記録を傍受することができることになると、プライバシーを侵害したり、行動の自由及び表現の自由に大きな影響を与えかねないことなどの厳しい意見が出された。 「テクノロジー捜査法」草案の今後の動向が注目される。
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