2025-06-16

空気汚染防止法第30条改正案に対して、全国工業総会が反発

現行の空気汚染防止法第30条において、公私の施設に設置された固定汚染源に関する許可証の延長に関する規定が過度に緩やかであるため、主務官公庁が延長申請に対して適時に判断を下さない場合でも、当該公私の施設に設置された固定汚染源は引き続き従来の許可証の内容に基づき設置・運転・使用を行うことが可能となっております。この状況が、中南部地域における空気品質の改善を妨げ、国民の健康に深刻な影響を及ぼす恐れがあると考え、台湾民衆党が「空気汚染防止法第30条の改正案」を立法院院会の審議に提案しました。

ただ、全国工業総会は以下のような三つの理由でこの改正案に反発しました。まず、改正案における第30条第1項に基づくと、これまでの「最短3年に1回」から「最短2年に1回」の延長申請義務へと変更される可能性があります。このような変更は、公私の施設にとってこの事務手続きに関わる人員配置の負担を増加させるだけでなく、公文書のやり取りも大幅に増加することとなり、結果として事務コストの増大を招くおそれがあります。

次に、公私の場所に設置された固定汚染源について、許可証の有効期間満了から延長申請の審査が完了するまでの間も、従前の許可証の内容に基づいて引き続き設置・運転・使用を行うことが可能とされてきましたが、改正案における第30条第3項及び第4項ではこの猶予期間が「2か月間」に短縮されます。全国工業総会は、これに対して次のような懸念を示しました。すなわち、公私の施設が法律に基づき適切に許可延長を申請したにもかかわらず、主務官公庁が2か月以内に審査を完了できなかった場合、その責任が事業者に転嫁され、従来の許可内容に基づく固定汚染源の設置・運転・使用を継続できなくなることになり、これは、行政機関の遅延による結果を、法令を遵守している公私の施設側に不当に負わせるものであり、信義則(信義誠実の原則)および手続の公平性に著しく反する、というものです。

三つ目は、改正案における第30条第5項によると、主務官公庁は、公私の施設において使用される物質が空気汚染を発生させやすい、または有害な空気汚染物質を排出するおそれがあり、国民の健康に対する危害が懸念される場合、その理由に基づき既に発給された許可証の内容を変更することができるとされているところ、「国民の健康に対する危害が懸念される場合」という表現が曖昧であるため、公私の施設はどのような対応をすればよいのか分からない上、投資への信頼・事業の安定性に影響する可能性がある、というものです。
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